ユビソヤナギ(湯檜曽柳)は、1972年、群馬県水上町の湯檜曽(ゆびそ)川で発見されたことがその名の由来とされています。
河畔性のヤナギの一種で、日本固有の落葉高木ですが、岩手、宮城、福島、群馬など少ない地域でしか発見されていない希少樹種です。
立地環境として共通していることは、多雪地帯、非火山を水源とする河川流域の上流部であること。
また、河川が洪水で氾濫した後の扇状地の流域に多く分布していることから、粗砂を豊富に含んだ河川堆積物が中洲や氾濫原を形成し、こうした環境がユビソヤナギの自生に適しているといわれています。
しかし、河川改修や洪水の減少などによりその数は減少していることから、環境省のレッドデータリストで絶滅危惧Ⅱ種《VU》(絶滅の危険が増大している種)に指定され、岩手県が取りまとめた『いわてレッドデータブック』においてもAランク(絶滅の危機に瀕している種)に区分され、保護されています。
西和賀町内では、沢内地区の飯豊橋以北の和賀川本流および支流沿いに分布しています。
ユビソヤナギは雌雄異株で、4月中旬から下旬にかけて開花します。
雄花の雄蕊(おしべ)が合着して1本になる点が、分類上の特徴とされています。
雄蕊の先端に花粉がつき、全体が黄色っぽく見えるようになります。