6月16日、湯田ダムにてクレストゲートの試験放流が行われました。
クレストゲートは別名・非常用洪水吐といい、ダム天端からの越流を防ぐためにダムの堤頂部に設置されているゲートのこと。
普段は閉じています。
一方、堤体下部にあるのがコンジットゲート(常用洪水吐)で、普段はここからダム湖の水が放流されています。
湯田ダムには6門のクレストゲートがありますが、実はこのゲート、50年もの間放流されることがなかったのだそうです(前回は1964年のダム竣工前)。
しかし、近年は地球温暖化による異常気象が頻発し、集中豪雨による洪水という非常事態も想定しなければいけない状況。
その対応を再確認することを目的とし、今回の試験放流となりました。
普段目にすることのできない光景、しかも50年ぶりという希少価値も相まって、当日は関係者やマスコミだけでなく、遠方からの見物客の皆さんも目立ちました。
開放前にゲートの最終確認。
見ているだけで怖そうですね。
僕には無理です。
放流時間が近づいてきて、警報のサイレンが鳴り響きます。
心なしか緊張してきました。
そして、いよいよ放流!
両端のゲートから、順に開放されていきます。
向かって左側の流路、よく見るとたまっていた土砂などが激しい勢いで洗い流されていきます。
すごい!
6門全部開放しました!
50年ぶりの光景が蘇った瞬間です。
勢いよく流れ落ちた水が、しぶきを上げて下流に注がれます。
水流が巻き起こす風で、木々の枝が大きく揺れていました。
放流時もゲートのチェックは入念に。
あー!これは絶対に無理です!
転職勧められても、丁重にお断りします!
ダメ!ゼッタイ!
横から見たダム。
相変わらず、堤体のアーチが美しいですねー。
放流前まではあまり意識していなかったのですが、このダムの減勢工(水が流れているところ)はスキージャンプ式になっているんですね。
滝の段爆のようで、見応えがあります。
流れの奥に見える通路や扉と比較すると、そのスケールの大きさがよくわかります。
ゲートの開放はそれぞれ20cmずつ。
狭いようですが、それでも毎秒12~24トンもの放流になるのだそうです。
約1時間の試験放流を終え、また、順にクレストゲートが閉じられていきます。
お祭りが終わるかのようで、寂しさすら感じました。
全てのゲートが閉じられると、あんなに大量に流れ出ていた水が、1滴も漏れることなくピタッと止まってしまいました。
ダムって、すごい!
次回のゲート開放は、何年後になるのでしょう?
待ち遠しいけれど、緊急に解放するような洪水が起こることがないよう願うばかりです。
(さとう)