8月25日、西和賀町に残っている茅葺屋根の差し替え作業が始まりました。
川舟地区にあるNPO法人「西和賀文化遺産伝承協会」が保存活動を行っている古民家『川舟の家』。
今年で3年目となる屋根の差し替え。今年は面積の広い表の部分3分の2の屋根の茅を差し替えします。
秋田県から職人3人をお招きし、作業に取り掛かりました。
【初日】
初日は、腐っている部分の茅を取り除き、新しい茅に差し替え。
家を守ってくれる大切な役割の屋根は昔から人々にとって身近な存在。
また、『清吉稲荷』で使われていた茅も「再利用できる」と職人さんたちがお話していました。
何十年も経っている「茅(かや)」も今回差し替えに使うそうです。
茅葺屋根で使用する「茅(かや)」は、ススキの総称で、通気性や耐久性に優れ茅葺屋根に使用されています。
「茅(かや)」の他に、「葦(よし)」も使用することがあり、宮城県石巻市にて行われた環境保全イベントで刈り取った「葦(よし)」も北上川繋がりで今回差し替えに使用するとのことです。
【差し替え作業2日目】
「針とり」は、表と屋根裏で掛け声をかけながら、縄を受けとり、場所を決めていく作業です。
お互い息を合わせて決めた場所をしっかり縄で結んでいきます。
【差し替え作業3日目】
どんどん高くなっていく足場は、杭を足し、高くしていきます。
「針とり」を繰り返し、茅を差し替え。
【差し替え作業4日目】
【差し替え作業8日目】
私が取材に行った時はもう、作業場は上の方へ進んでいました。
日に日に茅葺屋根が新しく変わっていく姿と職人さんの技の素晴らしさに毎日感動。
【差し替え作業9日目】
この日は茅葺屋根差し替え作業の仕上げ「刈り込み」が行われていました。
軒下部分の刈り込み、形を整えていきます。
茅葺職人の3人にお話を聞きました。
大石達夫さん 茅葺職人68年
はじめたきっかけは「17歳の時、お寺の手伝いに行って茅葺屋根の手伝いをしたのがきっかけだ」とのこと。
「茅葺屋根の仕事で一番大変な仕事は、軒下部分の刈り込みだ。
軒下がしっかりしているなら何十年もつ。
職人としては一番難しいところだ」とお話してくれました。
本間恵介さん 茅葺職人6年
「職人の養成事業がありその講座に参加し、実際茅葺屋根の作業を見学し、やってみたいなと思ったのがきっかけです。
この仕事の魅力は、茅も自分たちで調達しますし、自然の材料を使うから健康にもいい。
外でやる仕事なので、高い所での作業で風を感じ景色を見ながら作業できる所が魅力だと思います。」
冨木瑞樹さん 茅葺職人5年
「地元に帰ってきたら、職人養成があり参加したのがきっかけです。
この仕事の魅力は、設計図がないものなので、自分の感覚で作り上げていく仕事なので難しいときもありますがとても楽しいところです。」
【差し替え作業完成】
3分の2の茅葺屋根が生まれ変わり、9月4日一旦作業が終了しました。
残りの部分は来年以降着手する予定だそうです。
茅葺屋根差し替え作業の取材を通して、初めてみる茅葺職人の技は素晴らしいと改めて思いました。
茅葺屋根が少なくなってきている今、なかなか見る事が出来ない茅葺職人の作業を取材でき、とても貴重な体験が出来ました。
おやま