9月15日、カタクリの会主催による奥羽自然観察会が開催されました。
1990年に結成されたカタクリの会は、翌1991年1月より毎月、自然観察会を実施。
第273回を数える今回は、「歴史の道と秋の草花」というテーマで、白木峠の探索です。
白木峠は秋田県境に位置する標高602mの山で、今でも残る古道は藩政時代より交通・物流の要所とされてきました。
山道沿いではカタクリ、ミズバショウなど数々の自生植物を目にすることができ、特にユキツバキは北限の自生地といわれています。
西和賀の山の中では比較的傾斜も緩やかなので、気軽に散策できます。
当日は台風も近づいており、あいにくの雨模様。
荒天の場合は途中で引き返すことを申し合わせつつの出発です。
森の木々の葉が雨で濡れ、鮮やかな緑で包まれた山道を進みます。
ガイドはカタクリの会の代表、瀬川強さん。
西和賀町が誇る、自然のスペシャリスト。
その知識の豊富さには、いつも脱帽です。
ユキツバキの木には、実がなっていました。
写真には写っていませんが、かなりの数の実がなっていましたよ。
瀬川さんいわく、実はユキツバキの実がなる割合は極めて低いそうなんです。
くわえてユキツバキの実は、中の種子の数がヤブツバキに比べて少ない、発芽時期に林内が暗い、落ち葉が少ないので種子が乾燥しやすい、などの理由から発芽率も低いとのこと。
そういう説明を聞くと、いかに自生するユキツバキが貴重なものかがよくわかります。
植物はもちろん、道中にはたくさんのキノコも生えていました。
珍しいキノコその①
何とも不思議な、まるでゲームのコントロールスティックのような形。
ちなみに、成長すると球状だったところが真っ平になります。
これは、「タマシロオニタケ」というキノコなんだそうです。
かわいい外見に似合わず、猛毒をもっているそうなので、食べないようにしましょう。
珍しいキノコその②
生えている外見は、丸いタマゴが落ちているかのよう。
触ると、半熟タマゴのようにぷにぷにしています。
これが成長すると、すっぽんの頭のように長く伸びることから「スッポンタケ」と呼ばれているそうです。
一つとって断面を見てみると、外側はゼリー状のようなものに包まれ、内部に圧縮されたかのようにキノコが詰まっていました。
白い部分が柄、焦げ茶色の部分が傘になるそうです。
何とも不思議なキノコですね~。
中腹には、「ふきどり地蔵尊」があります。
これは寛政6年(1794年)の冬、秋田県六郷馬街の沢野権之助という人がふきどり(吹雪で遭難すること)し亡くなったことから、その供養のための地蔵さんと伝えられています。
ふきどり地蔵尊から少し進むと、今度は巨大な大杉が天に向かってそびえていました。
樹齢はわかりませんが、かなり歴史を感じられます。
この大杉の下でお昼休憩をとりました。
相変わらずの雨降りでしたが、森の中は木々の葉が頭上を覆って雨水を防いでくれたので、昼食時はあまり濡れずに済みました。
自然に感謝!
珍しいキノコその③
落ち葉の下から、ゆらゆらと空を目指すかのように生える物体。
「ベニナギナタタケ」といい、オレンジ色の容姿が一際目を惹きます。
食べられるそうですがあまり味はないので、サラダなどに色付けのアクセントとして使われるそうです。
山頂に到着すると、頭上を遮る木々もなく、雨がいっそう激しくなってきました。
残念ながら眺望は望めませんでしたが、晴れた日には錦秋湖や鳥海山も見えるそうなんです。
晴れた日に、また来てみたいですね。
足早に下山していると、モリアオガエルに出会いました。
あまり姿を見せることはないのですが、雨が降っていたのが幸いしたのか、はじめて間近に見ることができました。
鮮やかな黄緑色と、つぶらな瞳が印象的。
その後、湯夢プラザでこの日確認した動植物を確認しました。
その数、ざっと30種類以上にのぼり、普段何気なく接している自然でも改めて向き合ってみると、たくさんの発見があることに気付かされました。
『奥羽自然観察会』は来月以降もさまざまな活動を実施していきます。
皆さんもぜひ参加して、西和賀の自然と向き合ってみませんか?
(さとう)